ロレックスは世界中で愛される高級腕時計ですが、価格が高いだけに長く快適に使いたいと考える人が多いでしょう。ブレスレットは時計本体を腕に固定する重要なパーツで、特にステンレス製や金無垢製のリンク構造を持つロレックスでは、長年の使用で徐々に「伸び」が発生することがあります。伸びたブレスレットを放置すると着用感が悪いだけでなく脱落事故のリスクも高まります。本記事では、ブレスレットの構造や伸びの原因、防止策、修理方法や費用を2025年の最新情報で詳しく紹介し、長く愛用するためのノウハウを解説します。
ロレックスブレスの伸びの原因と修理に出すタイミング
ロレックスのブレスレットの基本構造
ロレックスのブレスレットは、複数のコマ(リンク)がピンやネジで連結された構造です。ブレスレットの種類には、堅牢でスポーティな「オイスター」、小さなコマが多数並んだ「ジュビリー」、3列構造で丸みのある「プレジデント」、内部にチタンブレードを持つラバーストラップ「オイスター フレックス」などがあります。これらはいずれも時計ケースと同等の耐久性を持たせるために高品質なステンレススチールやゴールドを使用しており、毎日着用しても長く使えるよう設計されています。各コマには中空パイプやソリッドバーが通され、両側のサイドリンクと中央リンクで構成されるため、適切なテンションが保たれているうちは腕にフィットした着け心地が得られます。
伸びの原因とリスク
ブレスレットが伸びる主な原因は、コマ同士をつなぐピンやパイプの摩耗、腐食や金属疲労です。ロレックスのジュビリーブレスは細かいリンクが多く、特にヴィンテージモデルでは薄い中空パイプを使っているため摩耗しやすく、オイスターに比べて伸びが目立ちやすいといわれています。汗や皮脂、石鹸などがコマの隙間に入り込むと潤滑作用のある油分が失われ、金属同士が直接擦れて摩耗が進行します。また、ブレスレットが長期間緩んだ状態で使用されると負荷が一点に集中し、ピンが変形したり隙間が広がる原因になります。このような伸びを放置すると見た目が悪くなるだけでなく、コマが破断して時計が落下するリスクが高まるため注意が必要です。
ブレスレットの種類と各特性
| 種類 | 特徴 | 採用モデル | 伸びのリスク |
|---|---|---|---|
| オイスター | 3列構造の堅牢なリンクで耐久性が高い | サブマリーナー、デイトナ、エクスプローラー | 重さはあるが伸びにくい |
| ジュビリー | 5列構造で柔らかく、装着感が軽快 | デイトジャストなど | 小さなコマと細いピンが多く伸びやすい |
| プレジデント | 半円形のコマが連なる3列構造で高級感がある | デイデイト、レディデイトジャスト | ソリッドバーを使用するため比較的伸びにくい |
| オイスター フレックス | チタン製ブレードにエラストマーを被せたラバーブレス | ヨットマスター40など | 金属パーツが少なく伸びにくいが経年劣化で硬化する |
ブレスレットを修理に出すタイミングは?
ブレスレットがどの程度伸びたら修理すべきか判断する目安として、平らな面に時計を置いた際にブレスレットが垂れ下がる角度を確認する方法があります。新品に近い状態では水平に近い角度で保持されますが、約45度以上垂れ下がるようであればピンやパイプの摩耗が進行しているサインです。特にジュビリーやオイスターの古いブレスレットは伸びが進むとコマ同士の隙間が広がり、金属疲労によってピンが折れるリスクがあります。また、装着時に手首が大きく動いたり異音がする場合、ブレスレットを抑えるエンドリンクやネジが緩んでいることも考えられます。こうした症状が見られたら早めに専門店や正規サービスセンターに相談することが大切です。
ブレスレットの伸び防止策

日常のメンテナンス方法
- 使用後は柔らかいブラシでコマの隙間を軽く洗い、石鹸や汗を取り除いてから水でよくすすぐ
- 真水やぬるま湯で洗浄した後は乾いた布で水分を拭き取り、完全に乾燥させる
- 定期的に時計本体とブレスレットの間の隙間を掃除し、汚れが蓄積しないようにする
- 保管時は湿度の低い場所に置き、防湿剤やシリカゲルを活用して錆びを防ぐ
- 洗浄後に微量の時計用オイルをピン部分に差すことで摩耗を軽減できる
正しい装着方法と注意点
- ブレスレットのサイズを適切に調整し、余計な遊びや窮屈さがないようにする
- マイクロアジャスト機能やエクステンションリンクがあるモデルでは季節に合わせて微調整する
- 重量物を持ち上げる際や運動時には時計を外し、過度なテンションを避ける
- 長袖の袖口やバッグの取っ手に引っ掛けないよう、着脱時はゆっくり扱う
- 定期的にネジやクラスプの締め付けをチェックし緩みがないか確認する
使用環境による影響
汗や皮脂には塩分や脂質が含まれ、コマやピンの隙間に入り込むと腐食や摩耗を促進します。夏場に長時間装着する場合は特に汗を拭き取るなどのケアが重要です。また、海水浴やプールなど塩素や塩分を含む水に触れた後は真水で洗い流し、塩分が残らないようにします。温泉に含まれる硫黄成分や化粧品、香水などの化学物質も金属の劣化を招くため注意が必要です。温度変化が大きな場所では金属が膨張収縮を繰り返し、ピンの緩みやコマの歪みにつながります。普段使いでも環境に応じたケアを意識することでブレスレットの寿命を延ばすことができます。
ブレスレットの修理方法

専門店での依頼方法
ブレスレットの伸びが顕著な場合は自宅で修理することは難しく、正規サービスセンターや時計専門の修理店に依頼するのが安全です。日本ロレックスの正規サポートでは、モデルによってオーバーホールの料金が定められており、2025年時点の価格例は以下の通りです。
| モデル名 | 正規オーバーホール料金(例・税込) |
|---|---|
| コスモグラフ デイトナ | 約8万8,000円~ |
| エクスプローラー | 約7万7,000円~ |
| GMTマスター | 約7万7,000円~ |
| サブマリーナー | 約7万7,000円~ |
| シードゥエラー/ディープシー | 約7万7,000円~ |
| ミルガウス | 約7万7,000円~ |
| デイトジャスト | 約7万1,500円~ |
| オイスター パーペチュアル | 約6万7,500円~ |
| デイデイト | 約8万8,000円~ |
| スカイドゥエラー | 約11万円~ |
正規店ではブレスレットの交換やパーツ交換も同時に行うため、保証期間が長く安心感があります。しかし価格は高く、仕上がりまで約1か月かかることが多いとされています。一方、時計専門の修理店ではロレックス専用の工具や技術を持ち、正規価格の半額程度でブレスレットの再調整やパーツ交換をしてくれる場合があります。例えば、エクスプローラーⅠは約24,200円から、ヨットマスターは約25,300円から、ディープシーは約35,200円から、デイトナは約44,000円からといった目安が提示されています。修理店の場合は納期が3週間程度と短く、費用面でも魅力的ですが、保証期間は6か月から1年と短めなので依頼先の実績や評判を確認すると安心です。
自宅でできる簡単な修理法
伸びが軽度で、リンクのピンにガタつきがない場合には自宅でできるメンテナンスだけで改善することもあります。具体的には以下のような方法があります。
- 外装の洗浄:ブレスレットをケースから外し、ぬるま湯と中性洗剤を使ってコマやピンの隙間をブラシで洗浄し、汚れを除去する
- ピンの締め直し:ネジ留め式のコマの場合は専用ドライバーでネジを軽く締め直し、緩みを解消する
- 簡易バネ棒交換:クラスプとケースをつなぐバネ棒が曲がっている場合は新品に交換することで遊びが減る
ただし、摩耗した中空パイプの交換やレーザー溶接による肉盛りといった本格的な修理は専門的な工具と経験が必要です。無理に修理しようとするとピンやコマの損傷を広げることがあるため、状態が重度の場合や高価なモデルでは専門店に任せるのが賢明です。
工房での本格的な修復技術
専門工房では、伸びたブレスレットを新品同様に修復するための高度な技術が用いられます。代表的な手法として、摩耗したリンクの穴をレーザー溶接で肉盛りし、再度正確な穴径に加工する方法があります。これにより緩んだピンが再びフィットし、ブレスレットの張りを取り戻すことができます。また、純正のピンやスリーブを新品に交換したり、必要に応じてコマそのものを交換することもあります。ジュビリーやヴィンテージモデルなど部品が入手しにくいブレスレットでは、技術者がパーツを製作することもあります。工房での修理費用は伸び具合や素材によって異なりますが、一般的なステンレス製ブレスレットの場合4万円から6万円程度、ゴールド素材や複雑な修復では10万円を超えることもあります。修理後にはメンテナンス保証が付く工房も多く、長期的に使用する際の安心感につながります。
ブレス交換の選択肢と費用
正規店と専門店の価格比較
伸びが深刻で修復が困難な場合や、見た目を一新したい場合はブレスレット自体を交換するという選択肢もあります。正規店で純正ブレスレットを購入する場合、素材やモデルによって大きく価格が異なります。例えば、サブマリーナー(Ref.126610LN)のステンレス製オイスターブレスは約70万円前後で、デイトナ(Ref.126500LN)のステンレスブレスは約80万円前後といわれています。一方、コンビ(ステンレスとゴールド)のブレスレットは150万円以上、18Kイエローゴールドやエバーローズゴールドのフル金無垢ブレスは300万〜500万円に達することもあり、本体価格と同等かそれ以上の費用がかかるケースもあります。
時計専門店や中古市場では、状態の良い中古ブレスレットが純正品よりも安価に入手できる場合があります。例えば、中古市場で流通するジュビリーブレスのステンレス製は20万円台から見つかることがあり、コンビブレスでも50万円台から販売されています。ただし、サイズや型番が合致しないと取り付けられないため、購入前に型番やリンク数を確認することが必要です。修理店によっては新品ブレスレットの取り寄せや中古品の調達も行っており、専門家に相談することで最適な選択肢を提案してもらえます。
新品と中古のメリット・デメリット
- 新品ブレスレットのメリット:最新の仕様で精度が高く、保証が付くので安心して使用できる。新品の光沢や質感は時計全体の印象を大きく向上させる。
- 新品ブレスレットのデメリット:価格が高く、特に金無垢やコンビブレスは本体価格に迫るコストがかかる。取り寄せに時間がかかることもある。
- 中古ブレスレットのメリット:価格が抑えられ、ヴィンテージモデル用の希少なパーツが見つかる場合がある。サイズ調整済みのためすぐに使用できることが多い。
- 中古ブレスレットのデメリット:使用感や軽度の伸びが残っている場合があり、保証が付かないことが多い。偽物や非純正パーツが混じるリスクもある。
ブランド別ブレスレットの価格相場
| 素材 | 参考価格帯 | 特徴 |
|---|---|---|
| ステンレススチール | ¥200,000~¥800,000 | スポーツモデル向け。耐久性が高く、伸びが少ない。 |
| ステンレス×ゴールド(コンビ) | ¥500,000~¥1,500,000 | ジュビリーブレスやオイスターブレスに採用。ラグジュアリー感が増す。 |
| ゴールド無垢 | ¥2,000,000~¥5,000,000 | デイデイトやヨットマスターなど。重量感と価値があるが修理費用も高い。 |
| プラチナ | ¥4,000,000~¥8,000,000 | デイトナやデイデイトのハイエンドモデルに使用。希少で資産性が高い。 |
ロレックスのブレスレット事例紹介

トラブル発生事例
実際にブレスレットの伸びで困った例として、1970年代のデイトジャストに装着されていたジュビリーブレスが挙げられます。長年オーナーが日常的に使用し、洗浄を怠っていたため汗と埃がコマの隙間に蓄積し、ピンが摩耗してリンクが大きく垂れ下がる状態になりました。この状態では腕を振るたびに時計が大きく動き、クラスプが外れやすくなっていました。別の例では、サブマリーナーのオイスターブレスをスポーツやダイビングで酷使した結果、ケース側のバネ棒が錆びて折れ、時計が海中に落下しそうになったというトラブルも報告されています。さらに、ジュビリーやプレジデントブレスで中空リンク部分が変形し、リンク同士が歪んでクラスプが閉まらなくなるケースも見られます。これらの事例からも、定期的な点検と早期の対応が重要であることがわかります。
成功した修理事例の分析
伸びたブレスレットでも、適切な修復によって本来の張りを取り戻した事例は多くあります。例えば、デイトナ(Ref.116500LN)のステンレスブレスで大きく伸びが出たケースでは、専門工房で各リンクの穴をレーザー溶接で補強し、純正パーツに交換する作業を行いました。修理費は約6万円でしたが、仕上がりは新品同様で、ブレスレットを水平に置いてもほとんど垂れ下がらない状態になりました。別の事例では、ヴィンテージのジュビリーを持つデイトジャストの伸びに悩んでいたユーザーが、専門店でピンとパイプをステンレス製ソリッドバーに交換することで張りが改善し、費用は4万円程度でした。これらの成功例から、伸びが進んだブレスレットでも適切な技術と部品を用いることで長期的に使用できることが示されています。
ユーザーレビューと評価
ブレスレット修理を依頼したユーザーのレビューでは、「修理後は新品のような張りが戻り、装着感が格段に向上した」といった声が多く寄せられています。特にデイトナやサブマリーナーのオイスターブレスは重量があるため、伸びが改善されると腕にしっかりフィットして日常使いの快適さが増すと評価されています。反対に「費用が高く新品ブレスレットを購入するのと迷った」という意見もあり、コスト面での検討が必要だと感じているユーザーもいます。また、修理店によって技術の差があり、複数の店舗で見積もりを取ったうえで信頼できる技術者に依頼するのが良いというアドバイスも見られました。総じて、愛着のあるロレックスを長く使い続けたいというユーザーにとってブレスレット修理は有効な手段であり、適切な専門店の選択が満足度を左右するようです。
まとめと今後の選択
修理・交換を考える前に知っておくべきこと
伸びたブレスレットに対処する際は、まず現在の状態を正確に評価し、修理か交換かを判断することが大切です。修理で対応できる軽度の伸びであれば専門店に依頼するほうがコストを抑えられますが、摩耗が著しい場合や金無垢ブレスレットの場合は交換したほうが安全なこともあります。また、時計全体の価値や将来の資産性を考えると、純正パーツを使用した修理や交換を選ぶことがリセールバリューの維持につながります。オーバーホールのタイミングでブレスレットの状態をチェックし、必要に応じて調整やパーツ交換を行うことが理想的です。
ロレックスファンが試すべき手入れ法
- 週に一度はブレスレットを外して全体を洗浄し、汚れや塩分を取り除く
- 金無垢やコンビモデルの場合は柔らかい布で優しく拭き、研磨剤は使わない
- 汗をかいた後は必ず水で洗い流し、乾燥させてから保管する
- 定期的に正規店や専門店で締め付けや歪みのチェックを受ける
- オーバーホールと併せてブレスレットの交換や修理を検討し、まとめて依頼することでコストを抑える
長く愛用するためのアドバイス
ロレックスの魅力は高い精度と優れた耐久性にあり、適切なケアをすれば世代を超えて使用できます。ブレスレットの伸びは時計の寿命に直接影響するため、日頃のメンテナンスを怠らず、異変を感じたら早めに専門家に相談しましょう。中古市場では、正規店価格を上回る買取相場が付くモデルも多く、デイトナSSやサブマリーナーなどは新品価格よりも高値で取引されています。これは需要が高く供給が限られているためであり、良好な状態を保つことが資産価値を高めることにつながります。最後に、2025年の最新情報では、オーバーホール費用や買取相場が年々変動しているため、定期的に信頼できる情報源を確認し、自分のロレックスに最適なメンテナンスと資産管理を行うことをおすすめします。
参考として、主要モデルの2025年正規店定価と買取相場の比較をグラフにまとめました。

グラフからは、デイトナやサブマリーナーなどの人気スポーツモデルでは新品定価よりも買取相場が高く、需要の高さがうかがえます。こうした市場動向を把握することも、修理・交換の判断材料になるでしょう。
また、以下の写真はオイスタータイプのブレスレットを備えたサブマリーナーのイメージです。重厚なリンク構造とセラミックベゼルの組み合わせが特徴的で、適切なメンテナンスを行えば長く美しい状態を保つことができます。