ヨットレースの緊張感を手首で操るロレックス「ヨットマスターII」。その唯一無二の機能美と迫力に魅了されるファンは多く、特に2025年現在の定価や市場動向には大きな注目が集まっています。
本記事では、ロレックス愛好家のプロが最新の公式定価から中古相場、購入時のポイントまで徹底解説。ヨットマスターIIの魅力と価値を余すところなく紹介する完全ガイドです。
ヨットマスター2の定価とその概要
ロレックスとヨットマスター2の魅力
ロレックスは高級腕時計の代名詞であり、その中でもヨットマスターIIは異彩を放つモデルです。
44mmの大型ケースと「YACHT-MASTER II」と大書されたベゼルデザインは、一目でそれと分かる強烈な存在感を放ちます。
このモデル最大の魅力は、ロレックス唯一のレガッタクロノグラフ(カウントダウンタイマー)機能を備えている点です。機械式時計で1〜10分のカウントダウン設定が可能な複雑機構は、ヨットレース用として開発されましたが、日常シーンで使ってもユニークな機能美を感じさせます。
さらに、堅牢なオイスタースチール(ステンレス)ケースや100m防水の性能を持ち合わせ、実用性と独創性を高次元で両立しているのも魅力です。クロノグラフの操作に連動するリングコマンドベゼルなど、ロレックスの技術力が結集されたモデルと言えるでしょう。
読者が知りたい定価とは?
「定価」とはメーカーが定めた正規販売店での新品販売価格のことです。ロレックスでは正規取扱店で購入する際、この定価が適用されます。
人気モデルの場合、市場では定価以上のプレミア価格が付くことがありますが、定価自体はあくまで公式な販売価格です。ヨットマスターIIに関心のある読者にとって、2025年時点の公式定価を知ることは、購入予算を立てる上でも非常に重要です。
また、ロレックスの場合、定価と中古相場の差から見えるモデル人気度や希少性があります。定価を正しく理解することで、ヨットマスターIIが市場でどのような価値を持つかを判断する指標にもなるのです。
このガイドで解決する課題
本ガイドでは、ヨットマスターIIに関する様々な疑問や不安を解消します。
まずは最新モデルの定価一覧とその価格帯を明確にし、過去から現在に至る価格推移や相場もひも解きます。
さらに、モデルごとの人気度合いによる価格傾向や、定価で購入するためのポイント(正規店での入手方法や注意点)も解説します。
加えて、ヨットマスターIIの市場背景として価格変動要因や為替影響、不人気とされるモデルの現状にも触れ、市場全体の文脈で位置づけを示します。
買取相場や中古市場での価値、購入時の注意事項(保証や偽物対策、定価で買えない場合の代替策)も網羅。
最後に、今後の価格予想や新作の影響、収集的価値、そして最新の市場動向まで展望し、ヨットマスターIIの魅力と機能面もプロ目線で詳述します。
ヨットマスター2の定価一覧

最新モデルと価格帯の確認
2025年現在、ロレックス「ヨットマスターII」の国内正規店での新品定価は以下の通りです(すべて税込価格)。
| モデル(素材) | 型番 | 定価 |
|---|---|---|
| ステンレススティール | Ref.116680 | ¥2,636,700(税込) |
| ステンレス×エバーローズゴールド | Ref.116681 | ¥3,584,900(税込) |
| 18Kイエローゴールド | Ref.116688 | ¥6,149,000(税込) |
| 18Kホワイトゴールド(プラチナベゼル) | Ref.116689 | ¥5,094,100(税込) |
上記はいずれもメーカー希望小売価格であり、正規店で購入できた場合の支払い金額です。
ステンレススティール製(Ref.116680)が最も手の届きやすい価格帯で約260万円台、コンビモデル(Ref.116681)は約360万円台、ホワイトゴールドモデル(プラチナベゼルのRef.116689)は約510万円、そして最も高額なイエローゴールド製(Ref.116688)は600万円超となっています。
これだけ価格差があるのは、素材の希少性や製造コストによるもので、ロレックス内でもヨットマスターIIは上位クラスの高価格帯モデルに属します。
過去の価格推移と現在の相場
ヨットマスターIIの定価は発売以来、ロレックス全体の価格改定に伴って徐々に上昇してきました。
例えばステンレスモデル(Ref.116680)の定価は発売当初は200万円台前半でしたが、近年の度重なる値上げによって2025年現在では¥2,636,700(税込)にまで引き上げられています。
他のバリエーションも同様に、この数年で数十万円規模の値上げが実施されており、物価上昇や為替の影響を反映した結果といえます。
一方で現在の市場相場を見ると、ヨットマスターIIはモデルによって定価との差異が異なります。
ステンレススティールモデルは、その希少性もあって中古品でもほぼ定価並み、未使用品なら定価をわずかに上回るプレミアが付くケースもあります。
一方、コンビ(ステンレス×エバーローズゴールド)や金無垢モデル(YGやWG)は新品定価が高額なぶん中古市場ではやや値が落ち着きやすく、おおむね定価の1割前後安い水準で取引される傾向があります。
これは市場での人気度や需要と供給のバランスによるもので、ステンレス製が最も需要が高く価値が安定しているのに対し、コンビや金無垢は購入層が限られるため相対的に割安になるためです。
ただしロレックス全般の相場が高止まりしている昨今、ヨットマスターIIも数年前と比べれば中古価格が底上げされており、「不人気だから二次市場で大幅安」という状況ではなくなっています。
人気モデルごとの価格比較
ヨットマスターIIの各バリエーションは素材や価格が異なるだけでなく、人気の度合いにも差があります。ここでは代表的なモデルごとに、その特徴と価格傾向を比較します。
- Ref.116680(ステンレススティール): 4モデル中で最も人気が高いバリエーションです。
シンプルなスチール素材ゆえ日常使いしやすく、定価も最安であることから需要が集中します。
結果として中古市場でも値崩れしにくく、むしろわずかなプレミアが付く傾向があります。 - Ref.116681(ステンレス×エバーローズゴールド): スチールとピンクゴールドのコンビモデル。華やかながら派手すぎないデザインで一定の人気がありますが、価格帯が中間的なこともあり需要は標準的です。中古相場では定価より一歩低い程度で推移し、極端なプレミアもディスカウントも付きにくいポジションと言えます。
- Ref.116688(18Kイエローゴールド): ケースもブレスもすべてYG製の最も豪華なモデルです。定価が突出して高額なこともあり購入できる層が限られるため、人気は相対的に低めです。ただしゴールドの重厚感や存在感は別格で、コレクション目的で選ぶ愛好家もいます。中古では定価の1割程度安くなるのが一般的ですが、状態次第では堅調な値を保ちます。
- Ref.116689(18Kホワイトゴールド): ホワイトゴールド製ケースにプラチナ製ベゼルを組み合わせたモデル。イエローゴールドより定価は低いものの、それでも高級域に属します。見た目が落ち着いているため一見するとステンレスにも見える渋いモデルで、コアなファンに支持されています。中古市場での流通量は非常に少なく、価格もやや下がる程度で希少性ゆえに安値放出はあまり見られません。
以上のように、ステンレスモデルが最も汎用性と人気が高く価格も安定しています。一方、金無垢モデルは突出した高価格ゆえに需要が限られ、中古価格の維持力はステンレスに劣る傾向です。とはいえヨットマスターII全体が限定的な生産数のモデルでもあるため、どの仕様であっても一定の価値はしっかり保たれていると言えるでしょう。
定価で買う方法と注意点
ヨットマスターIIを定価で購入するためには、基本的にロレックスの正規取扱店で新品を手に入れる必要があります。
正規店での購入は定価で買える唯一の方法ですが、誰もがすぐに買えるわけではありません。特にスポーツモデル人気が高騰した近年、ヨットマスターIIも含め店頭在庫は非常に希少です。
そのため多くの場合は販売店の入荷待ちリストに登録したり、抽選販売に応募する形となります。日頃から店舗に足を運び情報収集することや、販売員との信頼関係を築くことが購入への近道と言われています。
また、一部の人気モデルでは購入歴のある顧客が優先されるケースもあり、ヨットマスターIIも他モデル購入者への優先案内がある可能性があります。
正規店で買う際の注意点として、定価であっても支払いは現金または信販が前提で値引き交渉はできません。
逆に言えば、正規店以外で「新品を定価以下」で売っている場合は正規品ではない可能性や中古である疑いがあるため注意が必要です。
ロレックス正規保証書が発行されるのは正規販売経由の新品購入のみであり、その保証書には購入日や販売店名が記載されます。
定価購入できれば5年間のメーカー保証も受けられるため、並行輸入や中古で買うよりアフターサービスの安心感が高いのも利点です。
以上を踏まえ、ヨットマスターIIを定価で手に入れるには時間と手間がかかりますが、確実に本物を入手し長期保証を得るためには最も安全な方法となります。
ヨットマスター2の市場背景

定価の変動要因
ロレックスの定価は定期的に改定されますが、その変動要因は主に以下のようなものがあります。
一つは原材料や製造コストの上昇です。高級時計に使われるゴールドやプラチナ、そして人件費や物流費などが上がれば、それに応じて価格も見直されます。
次に世界的な需要動向も影響します。ロレックスは世界中で需要が高まっており、供給が追いつかない状況ではブランド価値維持のために価格を上げる戦略を取ることがあります。
さらに、ロレックス自身のブランド戦略としての値付け調整も見逃せません。特に新キャリバー搭載やモデルチェンジのタイミングでは、新モデルに高めの定価を設定し旧モデルとの差別化を図ることがあります。
これら複合的な要因により、ヨットマスターIIの定価も年々上方修正されてきた経緯があります。
円安や高額モデルの影響
日本国内の価格に関しては、為替レート(円安・円高)が大きな影響を及ぼします。
例えば近年の円安局面では、日本でのロレックス価格が海外より割安になり、海外から買いに来る需要が増えました。
その結果、2022年前後には日本ロレックスが突発的な価格改定を行い、一部モデルで二桁%の値上げを実施しています。これは世界中で価格の均衡を取るためで、円安が進めば国内定価も引き上げられる傾向があります。
また、ヨットマスターIIのような高額モデルに関して言えば、為替の影響に加えて購買層の動向も価格に現れます。円安時には富裕層やインバウンド需要によってゴールドモデルが売れやすくなり、市場在庫が減ることで中古価格が下支えされることがあります。
逆に円高局面や景気の変調時には、真っ先に高額モデルの需要が鈍る傾向があり、その場合は中古相場に影響が出る可能性があります。
このように為替と高額帯モデルの需要は密接に絡んでおり、ヨットマスターIIの市場価値にも影響を与える要因となっています。
不人気モデルの現状と理由
ロレックスには「不人気モデル」と呼ばれるカテゴリーがあり、かつてヨットマスターIIもその一つに数えられることがありました。
理由はいくつかありますが、44mmという大型サイズは日本人の平均的な腕周りには大きすぎる場合があること、そしてデザインの個性が強いため好みが分かれやすかったことが挙げられます。
特に文字盤とベゼルに大きく数字が配され「YACHT-MASTER II」の刻字が入るデザインは、伝統的なロレックスファンには斬新すぎて敬遠された側面もあります。
また、レガッタクロノグラフという特殊な機能ゆえに日常では使いどころが少なく、「宝の持ち腐れ」になるとの指摘も一部で聞かれました。
さらに価格帯も高価であるため、同じ予算ならデイトナやサブマリーナといった他の人気スポーツモデルに流れる傾向もあり、こうした要因が重なって一部では不人気とされたのです。
しかし現在の状況では、「不人気モデル」と言えるロレックスはほとんど存在しなくなりました。
ヨットマスターIIも以前より再評価が進んでおり、市場在庫が少ないことも相まって中古価格が安値に沈むようなことはありません。
むしろ他人と被らない個性的なモデルとして注目する層も増えており、他のロレックス愛好家との差別化を図りたいコレクターには密かな人気となっています。
こうした背景もあり、ヨットマスターIIは「隠れた魅力を持つ通好みのモデル」として現状では安定した需要と価値を維持していると言えるでしょう。
買取価格と市場での価値
専門店における査定基準
ヨットマスターIIを専門の買取店に売却する際、査定士は様々な観点からその時計の価値を評価します。主な査定基準は以下の通りです。
- 外装の状態: ケースやブレスレットに深い傷がないか、ガラスに欠けや傷がないか、磨き(ポリッシュ)済みか未研磨かといった点がチェックされます。状態が良好なほど高評価になります。
- 付属品の有無: 購入時の箱、保証書、説明書、ブレスレットのコマなどが全て揃っているフルセットかどうかは重要です。付属品欠品があると減額要因になります。
- 保証書情報と経過年数: 日本ロレックス発行の保証書に記載された購入日からの経年も査定に影響します。比較的新しいほど有利で、保証期間内(5年以内)ならなおプラス要素となります。
- 動作・機能のコンディション: ムーブメントの正常動作は当然として、クロノグラフやカウントダウン機構が問題なく作動するかも確認されます。故障や不具合がある場合はその修理費用分が差し引かれます。
- 市場人気と在庫状況: 買取店側の在庫状況や市場での需要も査定額に影響します。ヨットマスターIIの場合、ステンレスモデルは人気が高いため他モデルより高めの買取価格が提示されやすいです。逆にゴールドモデルは需要が限られるため、割合として買取率(定価に対する買取額の比率)が低めになる傾向もあります。
なお、ロレックスの場合は保証書があるだけで数万円以上査定額が変わることもあります。また、万が一改造パーツが使われている(純正ではない部品に交換されている)と真贋に影響するため、大幅な減額や買取不可となる可能性もあります。
総じて、購入時と同じ状態(オリジナルの部品と付属品完備)であればあるほど高値で買い取ってもらえると考えて良いでしょう。
購買時期のタイミングと影響
ヨットマスターIIに限らずロレックス全般で、いつ購入・売却するかのタイミングは経済的な損得に影響します。
まず新品を購入する側の視点では、年始や年度末などに価格改定(値上げ)が行われることが多いため、その直前に買えれば旧価格で入手できお得です。逆に改定直後は全モデル一律で値上がりしているので注意が必要です。
また、人気が過熱しているタイミング(メディアで話題になった直後など)は中古相場も一時的に跳ね上がるため、その時期の購入は割高になります。可能であればブームが落ち着くのを待ってから検討すると良いでしょう。
売却(手放す)側の視点では、相場が高騰している時期を逃さないことがポイントです。
例えば市場全体が値上がりしている局面ではヨットマスターIIの買取価格も上振れしやすく、このタイミングで売ればより高額査定が期待できます。
具体的には、新作発表直後に旧型モデルの需要が高まるケースや、為替変動で海外バイヤーからの引き合いが増えている局面などが挙げられます。
反対に、新モデル発表前の噂段階では旧型離れが起きて相場が一時的に下がることもあります。
このように、ロレックスは市場変動要素が多いため、「いつ買うか・いつ売るか」を意識することで数十万円規模で出費や収入が変わる可能性があります。常に最新の相場情報をチェックし、自身に有利なタイミングを見極めることが大切です。
中古市場における価値
ヨットマスターIIは中古市場でも高い価値を維持しています。特にステンレスモデルは前述の通り定価近辺で流通しており、購入後に大きく値下がりしない点はロレックスならではと言えます。
金無垢モデルなどは定価から見ると多少目減りするものの、それでも他ブランドの高額時計と比べればリセールバリューは非常に良好です。
新品同様品や未使用品であれば新品定価と遜色ない価格で売買されるケースもあり、ロレックスの中でもヨットマスターIIは「安くなりにくいモデル」の一つに数えられます。
今後、仮にヨットマスターIIがモデルチェンジや廃盤となった場合、中古市場での評価がどう動くかにも注目が集まります。
一般的にロレックスでは廃盤が発表されると旧モデルの相場が上昇する傾向がありますが、ヨットマスターIIの場合、生産数が比較的少ないことからプレミアが付く可能性も考えられます。
希少性が増せばコレクター間での需要が高まり、中古価格が定価を超えて推移する展開もあり得るでしょう。
もちろん市場価値は需給バランスによって決定されるため断言はできませんが、少なくとも大暴落するようなリスクは低く、所有していて資産的に安心感のあるモデルと言えます。
ロレックスを手放す際、「高く売るために事前にオーバーホール(分解掃除)した方が良いのでは」と考える方もいます。しかし実際には売却前にわざわざオーバーホールをする必要はありません。
買取業者は自社で提携工房を持ち、一般の方が出すより安価に整備できるため、個人が高額な費用をかけてオーバーホールしてもその分査定額が上乗せされにくいのです。
多少コンディションに難があっても、壊れて動かない時計でも買取は可能です。その状態も含めてプロが適切に評価してくれますので、売却の際は無理に事前整備せず、そのまま査定に出すことをおすすめします。
購入時の注意事項

正規取扱店での保証
ロレックスの正規販売店で新品購入すると、「5年間の国際保証」が付帯します。
これは日本ロレックスおよび世界各国のロレックス正規サービスセンターで有効な保証で、購入日から5年間、自然故障に対する無償修理が受けられるものです。
ヨットマスターIIのような高額時計でも、正規店購入であれば保証書に販売店名と日付が刻印され、いざという時にメーカーサポートを受けられる安心感があります。
この保証はグローバルに通用するため、海外旅行先で不具合が起きても現地のロレックスサービスセンターで対応可能です。
一方、中古で購入した場合や並行輸入品には注意が必要です。
保証期間内の個体であっても、正規の保証書が無い場合や名義がはっきりしない場合、メーカー保証を受けられない可能性があります。
正規取扱店で購入すればそういった心配がなく、万一のトラブル時も正規の基準で修理・オーバーホールを行ってもらえます。
高額なヨットマスターIIだからこそ、保証の有無は大きな安心材料となり、正規購入のメリットの一つと言えるでしょう。
偽物の見分け方
残念ながら高級時計市場にはロレックスの偽造品(コピー品)も存在します。ヨットマスターIIは複雑機構ゆえ精巧な偽物を作るのは容易ではありませんが、それでも注意は必要です。
以下に、ヨットマスターIIの真贋を見極める際に役立つポイントをまとめました。
- 購入経路を確認: 最も確実なのは正規店での購入ですが、それ以外の場合は信頼できる販売店かどうかを調べましょう。極端に安い価格を提示する個人取引などは要注意です。
- シリアル刻印と書体: 本物のロレックスは文字盤外周のレフォート(内側ベゼル部)にシリアル番号や「ROLEX」刻印があります。そのフォントや刻印の精巧さを確認しましょう。偽物は刻印が粗かったり、位置がずれていることがあります。
- リューズ・プッシャーの作動感: ヨットマスターIIではリューズ(竜頭)や上下のプッシャー操作でクロノグラフとカウントダウン機構を制御します。本物はねじ込み式リューズの開閉やプッシャーのクリック感がしっかりしていますが、偽物は動作がスムーズでなかったり防水構造が甘かったりします。
- 針や文字盤のディテール: 本物は文字盤の印字が極めて鮮明で立体感があり、時針は途中に丸型のメルセデスエンブレムを持つ「ベンツ針」です。偽物は印字が甘かったり、針の形状が異なる場合があります。また、夜光(蓄光塗料)の光り方(本物は青白く均一に光る)もチェックポイントです。
- 重量と質感: ロレックス正規品はステンレスであってもずっしりと重く、仕上げの質感が高いのが特徴です。ヨットマスターIIのステンレスモデルは約180gあります。偽物は素材が異なるため軽かったり、触れたときの質感(エッジの滑らかさやメタルの冷たさ)が劣ることが多いです。
上記のポイントを総合的に確認することで、かなりの確率で真贋判定が可能です。
それでも不安な場合は、ロレックス正規店や専門鑑定機関に依頼してチェックしてもらうのが確実でしょう。高額取引となるヨットマスターIIだからこそ、偽物を掴まされないよう慎重に見極めることが大切です。
定価で買えない場合の選択肢
どうしても正規店で定価購入できない場合、いくつかの代替手段があります。
一つは信頼できる専門店で新品または極美品を購入することです。いわゆる並行輸入店や中古時計専門店では、ヨットマスターIIの新品同様品が定価より高いプレミア価格で販売されていますが、正規店で入手困難な状況では確実に手に入れる手段となります。
価格は割高になりますが、鑑定書付きや独自の保証を付ける店も多く、アフターサービス面での安心を買う意味もあります。
次の選択肢は中古で状態の良い個体を探すことです。新品にこだわらなければ、わずかに使用された程度の中古品が定価より安く手に入る場合もあります。
特にコンビモデルや金無垢モデルは新品定価が高いため、中古なら比較的手頃な価格帯になることがあります。
中古購入時には前述の偽物リスクも伴うため、実績ある専門店で購入することが大切です。正規の保証書付きの個体であれば、残存期間内ならメーカー保証も引き継がれます。
その他の選択肢として、ロレックス認定中古制度(CPO:Certified Pre-Owned)を利用する方法も検討できます。
近年、日本国内でも一部正規店が認定中古品を扱い始めており、メーカーお墨付きの中古ロレックスを購入できます。価格は相場より若干高めですが、購入時にロレックスから2年間の認定中古保証が付くため安心感があります。
このように、定価で買えない場合でも予算やリスク許容度に応じて様々なルートがあります。いずれの場合も高額な買い物であることに変わりはないので、信頼できる店舗から購入することが最も重要です。
今後の価格予想
新作登場の影響
今後ヨットマスターIIに新作(モデルチェンジ品)が登場した場合、現行モデルの相場に影響を及ぼす可能性があります。
ロレックスでは新世代ムーブメント搭載に伴いリファレンス番号が変わる例が多く、もしヨットマスターIIも新キャリバーを搭載した「次世代モデル」が出れば、定価が上がるとともに旧モデルが廃盤となるでしょう。
その際、旧モデル(Ref.116xxx系列)の市場価格がどう動くかは二通り考えられます。
一つは新型人気に押されて旧型の需要が一時的に落ち、相場が下がるケース。機能やスペックで新型が優れていれば、多くの人が新作を求め旧型を売却するため、一時的な供給過多になる可能性があります。
もう一つは旧型にプレミアが付くケースです。新型でデザインが大きく変わった場合や、旧型ならではの特徴(例えばベゼルの表記様式など)を好む層が一定数いる場合、むしろ「今しか手に入らない旧デザイン」として価値が上がる可能性もあります。
実際、過去のロレックスでもモデルチェンジ後に旧型が再評価される例は見られます。
仮にヨットマスターIIが新作発表ではなく生産終了(廃盤)となった場合は、それ自体がニュースとなりコレクターの需要が喚起されるでしょう。
ミルガウスやエアキングなど過去に生産終了が噂されたモデルでも市場価格が急騰した例があり、ヨットマスターIIも「ロレックス唯一のレガッタクロノ」という特殊性から廃盤時には注目度が増すと予想されます。
いずれにせよ、新作登場の有無は今後の価格動向に大きく影響し得る要素であり、ファンや市場関係者は常にウォッチしている状況です。
収集価値としてのヨットマスター2
ヨットマスターIIはロレックスコレクションの中でも異色の存在であり、その収集価値もユニークです。誕生からまだ日が浅いモデルですが、生産期間が限定的で流通量も少なく、ロレックス唯一のレガッタタイマー搭載機という特殊性もあいまって、将来的にコレクターズアイテムとなる可能性があります。実際、現時点でも「人と被らないロレックス」を求める愛好家に注目されており、廃盤後に年月が経てば希少性の高さから価値上昇が期待できるでしょう。
2025年の市場動向
最後に、2025年時点のロレックス市場動向について展望します。
近年の時計市場は世界的なインフレや富裕層の資産分散志向を背景に高級時計ブームが続いてきましたが、2023年〜2024年にかけて一部モデルで価格調整が起き、過熱感は若干収まりました。
それでも2025年現在、ロレックスの需要は依然堅調で、人気スポーツモデルは正規店で入手困難な状況が続いています。
ヨットマスターIIに関しては、他の超人気モデル(デイトナやサブマリーナなど)ほどの品薄プレミアではないものの、生産数自体が少ないため市場流通量は限定的です。
したがって価格も安定しており、大きく値崩れする兆しは見られません。
2025年以降も、為替や景気による一時的な変動はあり得ますが、ロレックス全体の価値は長期的に緩やかな上昇基調を維持すると見られています。
ヨットマスターIIもこの大きな潮流の中で安定した地位を保ちつつ、唯一無二のモデルとして着実に価値を高めていくことでしょう。
ヨットマスター2の魅力と機能
防水性やデザインの特徴
ヨットマスターIIは、その名前が示す通りヨッティング(ヨットレース)を意識してデザインされたモデルです。
大型44mmケースは視認性と存在感を両立し、100m防水性能によって水上での使用にも十分耐えうる仕様となっています。
デザイン面でまず目を引くのは、鮮やかなブルーのセラミック製ベゼル(※ホワイトゴールドモデルのみプラチナ製ベゼル)に刻まれた「0〜10」の数字と「YACHT-MASTER II」の大きなエングレービングです。
文字盤は全バリエーション共通でホワイト地に青と赤の差し色が配され、外周にはカウントダウン目盛りがレイアウトされています。
また、ケースサイドにはねじ込みロック式のクロノグラフプッシャー(2時位置と4時位置)を備え、リューズガードを含めた重厚なシルエットが特徴的です。
このように、ヨットマスターIIの外装デザインは機能性と視覚的インパクトが融合した、他に類を見ないスタイルとなっています。
ムーブメントと技術情報
ヨットマスターIIに搭載されているのは自社製のCal.4161自動巻ムーブメントです。
このキャリバーは、有名なデイトナ用クロノグラフムーブメントCal.4130をベースに開発されたレガッタクロノグラフ専用機で、開発には約35,000時間(4年)を要したと言われます。
1〜10分のプログラム可能なカウントダウンタイマーを備え、スタートのタイミングに合わせて秒針をフライバックさせ任意の分から再カウントできるメモリー機構を実現しています。
この高度な機構を簡便に操作できるよう連動するのがリングコマンドベゼルです。ベゼルを所定の位置に回転させることでムーブメント内部のカウント設定モードが切り替わり、リューズ操作で希望の分数をセット可能となります。
当然ながら高精度クロノメーター(日差+2/-2秒以内の自社基準をクリア)仕様で、パワーリザーブは約72時間、耐磁性に優れたパラクロム・ヘアスプリング採用などロレックス最新技術が投入されています。
プロフェッショナルなモデルとの違い
ヨットマスターIIはロレックスの「プロフェッショナルモデル」カテゴリーに属しますが、その中でも異彩を放つ存在です。他のプロフェッショナル系モデルとの主な違いを挙げると:
- 用途の特化度: サブマリーナーやシードゥエラーが潜水、GMTマスターIIがパイロット、デイトナがモータースポーツといった汎用性の高いテーマを持つのに対し、ヨットマスターIIはヨットレース専用という極めてニッチな用途に特化しています。
- サイズとデザイン: 44mm径というケースサイズはディープシーに次いで大型で、文字盤・ベゼルの装飾性(大書体のモデル名や目盛り)も他モデルにはない大胆さです。多くのロレックスが控えめなエレガンスを備える中、ヨットマスターIIは自己主張の強いデザインと言えます。
- 機構の複雑さ: レガッタカウントダウンという特殊機能を搭載するヨットマスターIIは、ムーブメントの複雑さにおいて他を圧倒します。リングコマンドベゼルのような独自機構も備え、技術的挑戦度ではプロフェッショナルモデル中随一です。
このように、ヨットマスターIIは同じロレックススポーツモデルでも一線を画す特徴を備えており、それが他にはない魅力ともなっています。ヨットレースの世界に根ざしたコンセプトと、ロレックスの技術力が融合した唯一無二のモデルと言えるでしょう。