ロレックスのアンティークモデルは、独特の風格と希少性から多くの人々を魅了しています。
しかし年代物ゆえにメンテナンスの難易度は高く、修理方法や依頼先を誤ると価値を損なう恐れがあります。
この記事では、アンティークロレックスの修理に必要な基礎知識から依頼手順、費用の目安、注意すべきポイントまでを徹底解説します。
2025年最新の情報をもとに、初心者でも安心して修理を依頼できるよう丁寧にまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
目次
初心者必見!ロレックスアンティーク修理の流れ
ロレックス修理の基本知識
アンティークロレックスを大切に使い続けるためには、修理やオーバーホールの知識が欠かせません。
ロレックスが採用しているオイスターケースやジュビリー・プレジデントなどのブレスレットは、精密に設計された部品で構成されています。
長年の使用によって摩耗したり、パッキンが劣化して防水性が低下したりすると、ムーブメントにも悪影響を及ぼします。
アンティークモデルは現行品と異なる部品が使われていることが多く、正規サービスセンターでも部品が生産終了となっている場合には修理が難しくなります。
そのため修理に対応できる専門店や腕利きの職人の存在が重要です。
アンティークとヴィンテージの違い
一般にアンティークとヴィンテージは混同されがちですが、時計の世界では明確な違いがあります。
アンティークは製造からおおむね100年以上経過したものを指すことが多く、素材や構造が現代のものとは大きく異なります。
一方ヴィンテージは生産終了から20〜30年以上を経た旧型モデルを指し、1970〜1990年代のサブマリーナーやGMTマスターⅡなどが該当します。
たとえば「エクスプローラーⅠ」や「サブマリーナー」の初期リファレンスはアンティーク、1980年代の「デイトジャスト36」や「ヨットマスター40」はヴィンテージとして扱われることが多いです。
アンティークほど希少なモデルになると部品の入手が困難になり、修理費用や期間も長くなる傾向にあります。
ロレックス修理の流れと必要書類
アンティークロレックスの修理手順は現行モデルと大きく変わりませんが、必要な確認事項が増えます。
まずはモデル名やリファレンス、製造年代を調べます。
保証書や過去の修理記録が残っていれば、依頼先に提出することで作業がスムーズになります。
修理の流れは以下の通りです。
- 状態確認:ケースやベルトの劣化、ムーブメントの動作状況をチェックします。
- 見積り依頼:正規店または専門店に連絡し、概算費用と対応可否を確認します。
- 正式依頼:見積り内容に納得したら依頼契約を結び、時計を送付または持ち込みます。
- 分解・検査:ムーブメントやベルトを分解し、パーツの摩耗や破損を検査します。
- オーバーホール・パーツ製作:必要に応じて洗浄・調整を行い、欠損パーツは新規制作や同年代の部品から交換します。
- 仕上げ・防水検査:ケースやブレスレットの研磨、仕上げを実施し、防水性能を確認します。
- 納品:仕上がりを確認したうえで返却されます。修理明細書や保証書が発行されることもあります。
アンティークではリファレンスの確認や部品の調達に時間がかかるため、複数の業者で見積りを取り、対応実績を比較することが重要です。
ロレックスの修理を依頼する前に知っておきたいこと

ロレックス修理専門店の選び方
アンティークロレックスを修理できる業者は限られているため、依頼先の選定が最重要です。
選ぶ際は以下のポイントを参考にしてください。
- 技術者の経験と資格:ロレックスの修理資格を持つ技術者やアンティーク時計の修復経験が豊富な職人が在籍しているか。
- 純正部品の確保:古いリファレンスに対応した純正部品や互換パーツを確保できるネットワークがあるか。
- 保証とアフターサービス:修理後の保証期間や無償調整サービスの有無を確認する。
- 修理実績と評判:過去の修理例や口コミを調べ、高い評価を得ているかどうか。
正規サービスセンターは品質面で安心ですが部品供給が終了していると断られることがあります。
一方の専門店は汎用部品や中古部品を使って修理する柔軟性がありますが、作業品質にばらつきがあるため慎重に選びましょう。
正規店と専門店の違いとは?
正規店(日本ロレックス)の修理は純正部品を使った高品質なサービスが受けられます。
アンティークモデルでも部品が残っていればオーバーホールや交換に対応してくれる場合があり、修理後には通常2年間の保証が付与されます。
しかし製造から数十年が経過したモデルは部品の製造が終了しており、正規店では修理を断られることが少なくありません。
その場合は修理専門店に依頼することになります。
専門店のメリットは、製造終了部品のストックや代替品を用いて修理する柔軟性があること、費用が比較的安価なことです。
例えばアンティークデイトジャストのオーバーホールは正規店で10万円前後、専門店では5〜7万円程度で受け付けている例があります。
ただし純正部品が手に入らない場合、互換パーツを使用することにより資産価値が下がるリスクがあるため、目的に応じて選択する必要があります。
料金表の理解と見積もりの取り方
修理費用は作業内容や部品代によって大きく変動します。
以下に代表的な修理項目と費用の目安をまとめます。
| 修理内容 | 正規店参考費用 | 専門店参考費用 |
|---|---|---|
| オーバーホール(手巻き) | 約90,000円〜 | 約50,000円〜 |
| オーバーホール(自動巻き) | 約95,000円〜 | 約55,000円〜 |
| クロノグラフモデルOH | 約110,000円〜 | 約60,000円〜 |
| ベルトのリンク調整 | 数千円程度 | 1,000円〜 |
| 部品作製(欠品パーツ) | 不可の場合あり | 数万円〜 |
見積りを依頼する際は、修理内容と一緒に追加料金が発生する可能性を確認してください。
アンティークモデルでは部品製作や調達費用が別途かかることがあり、見積りの際に明示されているかどうかが重要です。
複数の専門店から見積りを取り、価格だけでなく保証や仕上がりの質を比較することをおすすめします。
ロレックスアンティーク修理の過程

オーバーホールの重要性
アンティークロレックスはムーブメント内部の油が乾き、歯車が摩耗して精度が低下していることがあります。
オーバーホールではムーブメントを完全に分解し、各部を洗浄したうえで新しい潤滑油を塗布し、消耗した部品を交換します。
この作業によって時計本来の性能を取り戻すだけでなく、錆びや摩耗が進行するのを防ぐ効果があります。
特に1960年代以前のアンティークモデルは防水性能が低く、ケース内に湿気が侵入しやすい構造のため、定期的な分解掃除が欠かせません。
目安としては3〜5年ごとのオーバーホールを推奨しますが、アンティークでは長期間未整備の個体が多いため、購入後すぐに整備を受けることが望ましいです。
パーツ交換の必要性と流れ
アンティークモデルの修理で難しいのがパーツ交換です。
ゼンマイやリューズ、歯車などの消耗部品は既に生産が終了していることがあり、正規店では交換用の純正部品を保有していない場合があります。
専門店では未使用のストック部品や中古部品、互換パーツを確保して修理に充てることがあります。
また、どうしても入手できない場合は熟練した職人が旋盤やフライス盤を用いて部品を新規製作することもあります。
パーツ交換の流れは以下の通りです。
- パーツの診断:摩耗や欠損箇所を特定し、交換が必要かどうか判断。
- 代替部品の調達:純正部品があるか、互換パーツで対応可能かを確認。
- 新規製作:部品がない場合は図面を起こし、素材を加工して製作。
- 装着と調整:交換後の部品が他の機構と正しく噛み合うよう調整。
パーツ調達に時間がかかることが多く、修理期間が長期化する要因となります。
信頼できる専門店では部品の在庫状況や製作可否について事前に説明してくれるので、不明点は事前に確認しましょう。
修理中のパーツとその仕上げについて
修理中に用いられるパーツには大きく分けて三つの種類があります。
純正部品は資産価値を保つために最も推奨されますが、入手できない場合は質の高い互換パーツやオーダーメイド部品を使用します。
またケースやブレスレットの外装仕上げではポリッシュとヘアライン仕上げのバランスが重要で、磨きすぎるとエッジが丸くなり形状が変わってしまいます。
アンティークの魅力である「エイジング」を残しつつ輝きを取り戻すためには、高い技術を持つ職人に依頼する必要があります。
修理前に仕上げの度合いを指定できる店舗もあるので、自分の好みを伝えると良いでしょう。
ロレックス修理にかかる費用と期間
基本料金と追加料金の解説
アンティークロレックスの修理費用は、基本工賃に加えて部品代や特別な加工費が加算されます。
手巻きモデルの基本オーバーホール工賃は約9万円から、クロノグラフモデルでは11万円程度が相場ですが、アンティークの場合は部品の製作費や時間調整により1万〜2万円追加されることがあります。
ベルトの調整は数千円で済みますが、リンクの溶接やクラスプ交換などの大掛かりな作業では数万円以上かかることもあります。
時計の状態やモデルによって幅があるため、正確な費用を知りたい場合は事前に写真や症状を伝えて見積りを取りましょう。
実績から見る価格帯の目安
実際の事例を参考にすると、デイトナやサブマリーナーなどスポーツモデルのアンティークは修理費用が高い傾向にあります。
例えば1970年代のコスモグラフデイトナ(手巻き)のオーバーホールと部品交換で15万円前後、1980年代のサブマリーナーデイト(Ref.16800)ではオーバーホールとクラスプ交換で10万円程度が目安です。
一方、比較的シンプルな機構を持つエクスプローラーⅠやデイトジャスト36では7万〜9万円程度で修理できるケースが多く見られます。
いずれも部品の有無や損傷の程度によって変動するため、複数の専門店で事例を調べると参考になります。
下表は主要モデルの2025年正規定価とアンティークの修理費用目安を比較したものです。
| モデル | 2025年定価(新品) | アンティーク修理費用目安 |
|---|---|---|
| コスモグラフデイトナ | ¥2,349,600(税込)〜¥20,750,400(税込) | 10万〜15万円程度 |
| GMTマスターⅡ | ¥1,633,500(税込)〜¥7,467,900(税込) | 8万〜12万円程度 |
| エクスプローラーⅠ | ¥1,104,400(税込)〜¥1,943,700(税込) | 7万〜9万円程度 |
| サブマリーナー | ¥1,400,300(税込)〜¥7,062,000(税込) | 8万〜12万円程度 |
| デイトジャスト36 | ¥1,135,200(税込)〜¥3,670,700(税込) | 7万〜9万円程度 |
| デイデイト40 | ¥6,486,700(税込)〜¥17,857,400(税込) | 12万〜18万円程度 |
この表からもわかるように、現行品の定価が高いモデルほど部品の点数や構造が複雑であるため、アンティークでも修理費用が高くなる傾向があります。
事前に予算を把握しておくことが重要です。
修理期間の目安と注意点
アンティークロレックスの修理期間は一般的に新しいモデルより長くなります。
正規店で部品が揃っている場合でも4〜6週間程度、部品調達や新規製作を伴う場合は2〜3か月かかることもあります。
専門店では工房の混雑状況によって納期が変動し、希少部品の入荷待ちで半年以上かかる事例もあります。
修理期間中は代用時計を用意しておき、大切な場面で使用予定がある場合は余裕を持って依頼することが大切です。
また、修理完了後は動作チェックのために数日間のテスト期間を設ける店舗もあるので、納期はあくまで目安として考えておきましょう。
修理を断られないために

依頼が断られる主な理由
アンティークロレックスの修理が断られる理由には以下のようなものがあります。
- 部品の絶版:特定のリファレンスに対応する純正パーツが全く入手できない場合、正規店は修理を受け付けません。
- 改造や非純正部品の使用:過去に社外パーツで改造されていると、構造が変わっているため修理を断られることがあります。
- 損傷の程度が大きい:ケースが大きく変形している、ムーブメントの心臓部が錆び付いているなど再生が難しい場合。
- 保証書やシリアルが不明:時計の真贋が判別できない場合、安全のため修理を受け付けない店舗もあります。
このようなケースでも、アンティーク専門の修復士が対応できることがありますので、複数の店舗に相談することが大切です。
アフターケアと保証について
修理後のアフターケアは時計の寿命を左右します。
正規店で修理を受けると通常2年間の保証が付き、その期間内に同じ箇所に不具合が出た場合は無償で再修理してもらえます。
専門店でも6か月〜1年程度の保証を付けるところが増えており、保証期間中の調整や点検が無料で受けられるケースがあります。
アフターケアとしては、防水検査の記録を保存し、次回のオーバーホール時期を把握しておくこと、ベルトの洗浄や磁気抜きなど簡易メンテナンスを定期的に行うことが重要です。
修理明細書や保証書は再売却時にも必要になるので、大切に保管してください。
ロレックスを長持ちさせるためのメンテナンス
アンティークモデルほど日常の取り扱いが重要になります。
以下のメンテナンスを心がけてください。
- 汗や水分を拭き取る:革ベルトは水分に弱く、金属ベルトも汗を放置すると腐食を招きます。使った後は柔らかい布で拭きましょう。
- 定期的な洗浄:金属ブレスレットはぬるま湯と中性洗剤で洗い、柔らかいブラシで汚れを落とします。
- 磁気を避ける:スピーカーやスマートフォンなど強磁気を放つ機器に近づけないようにします。
- 適切な保管:防湿ケースやウォッチワインダーを使用し、温度変化や湿気から守ります。
これらのメンテナンスを実践することで、アンティークロレックスの寿命を延ばし、次回の修理費用を抑えることにもつながります。
まとめと今後の注意点
修理依頼の流れの振り返り
アンティークロレックスの修理は、状態確認から見積り、オーバーホール、パーツ交換、仕上げという流れで進みます。
修理に出す前にはモデル名や製造年代を把握し、保証書や過去の整備記録があれば用意しておきましょう。
正規店と専門店の特徴を理解し、複数の見積りを比較したうえで依頼先を選ぶことが重要です。
ロレックスの価値を維持するために
アンティークロレックスは適切な修理とメンテナンスで価値を維持し、将来的な資産にもなります。
オーバーホールや部品交換では可能な限り純正部品を使用し、修理明細書や保証書を保管しておきましょう。
また、無理な研磨を避けてオリジナルの形状や仕上げを尊重することが、コレクターから高く評価されるポイントです。
次回修理への備え方
アンティークロレックスの修理間隔は3〜5年が目安ですが、個体差が大きいため定期的な点検が欠かせません。
今回の修理で交換した部品や作業内容を記録しておき、次回の修理に役立てましょう。
また、パーツの在庫が減少する前に必要な部品を確保しておくことも重要です。
専門店に相談して互換パーツの情報を収集したり、オークションで同型のパーツを購入したりするなど、長期的な視点で備えておくと安心です。